宏精堂 家門表具店

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平成30年1月 西宮市/M様邸 屛風仕立替え

仕事の概要

平成29年8月にお電話で六曲一双屛風(ろっきょくいっそうびょうぶ)2対の修復のお問い合わせをいただきました。

ご訪問時に状態を見させていただいたのですが、残念なことに虫食いが激しく、一部には(カビ)も生えており、4(せき)全てを修復するとなるとかなりの費用がかかることが判りました。

そこでお客様と相談の上、金屛風は状態の良い1隻のみを修理し、もう1隻は絵屛風修復の材料に使用して廃棄することにしました。また、傷みのひどい絵屛風は1隻を本紙のみ残して廃棄し、もう1隻は廃棄する金屛風を利用して修理(修復)することになりました。

お客様の声

兵庫県西宮市のM様からいただいた「お客様の声」です。

今回、お仕事を御依頼いただくきっかけになったできごとは何ですか?
古い屏風の修復
どこで当店をお知りになりましたか?
HPを見て
他に比較されたお店や広告などがありましたらお教えいただけますか?
(回答なし)
当店をお選びいただいた決め手は何ですか?
自宅の近く 且つ 業歴が永かったので
実際に当店をご利用いただいた御感想をお聞かせください。
古い屏風でしたが、しっかりと修復して頂きました。
費用もおさえて頂き助かりました。
今後、掛軸の表装もお願いしていきます。

四代目店主より

このたびは、宏精堂家門表具店をお選びいただき、誠にありがとうございました。

下地の虫食いが想像以上に進んでおり、その処理と修復・仕立直しの作業に思いのほか時間がかかりましたことをお詫び申し上げます。

一般に屛風の修復・仕立直しは、蝶番(ちょうつがい)に巻き込んでいる部分も含め、本紙を綺麗にめくるところから始まります。その際、角の部分は長年の使用で擦り切れ、欠損していたり破れやすくなっていたりしていますので、ただでさえ慎重に作業を行なう必要があるのですが、お預かりした屛風は虫食いによる欠損も酷く、通常以上に時間と手間がかかりました。

下地の虫食いの酷いところは砥の粉(とのこ)やパテで補修し、表面を和紙で補強しました。また、(カビ)の生えていたところには消毒用のアルコールを噴霧し、天日でしっかりと乾燥させてから仕立直しの作業に入りました。

仕立直し自体は、廃棄する金屛風を材料として使わせていただいたので、材料費を押さえながらも豪華に仕上げることができました。

掛軸の表装もお任せいただけるとのこと、光栄に存じます。今後とも末永いお付き合いをよろしくお願いいたします。

四代目店主 一級表装技能士 家門 秀行

屛風の保存について

掛軸や屛風などは、普段、押入や倉庫などにしまっておくことが多いと思いますが、最低でも年に1回、お天気の良い日が続く頃に3日~1週間は広げて風を当ててやることで、虫食いや(カビ)をある程度は防げます。

梅雨が明けた7月の祇園祭に合わせて行われる京都の屛風祭や、阿智神社秋季例大祭に合わせて行われる倉敷の屛風祭も、元々は虫食いや黴を防止するための乾燥作業を兼ねたものです。

大切なものを長く使うための昔の人の知恵ですね。