宏精堂 家門表具店

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障子紙(しょうじがみ)の種類

製法、原材料による分類

製法や原材料の含有率などにより、障子紙もいろいろな種類に分類されます。

手漉き和紙【てすきわし】

楮紙【こうぞし】
石州半紙

天然繊維である(こうぞ)を主原料に、職人さんが1枚1枚手作業で漉き上げた高級和紙です。

特に、ユネスコの無形文化遺産に登録されている石州和紙や、平成26年に追加登録が決まった本美濃紙細川紙は、天然繊維である楮のみで漉かれる和紙で、障子紙の最高級品です。

もっとも、原材料として楮を40%以上含むものは規格上「楮障子紙」と呼べるので、一口に楮紙と言っても品質と価格には幅がありますが、全て昔ながらの伝統の技で手間暇かけて作られています。原材料である長繊維の楮を吟味して使っているため、風合も丈夫さも抜群ですし、特に、漂白をせずに材料の段階で色味をそろえて漉く「未晒(みさらし)」の紙には独特の風合いがあります。

未晒の楮紙は、部屋の湿度の吸収発散を繰り返す中で日光の紫外線を浴びて数年かけて白くなり、その後、少しずつ茶色く焼けてきます。その変化にも味があり、破れることがなければ、5年から10年の間、フィルター効果を維持できる長寿命なところも特徴の一つです。

当店では楮の含有率や産地の違う複数の楮紙を扱っています。

楮入り和紙【こうぞいりわし】

楮の含有率が20%以上40%未満の手漉き和紙です。

パルプなどの短繊維の原材料を多く含むものは、強度や風合いが楮紙よりも劣りますが、長繊維としてレーヨン(人絹(じんけん))などの植物系再生繊維を加えたものは、手漉き独特の繊維の絡み具合も健在で、伝統の技と天然素材の風合いを生かした本物の和紙と言えます。

化学繊維を含むものもありますが、当店では「本物の紙」にこだわり、天然繊維および植物系再生繊維を含んだ物のみを扱っています。

手漉き和紙は量産度も低くコストもかかります。そのうえ生産には、紙漉きの技術だけでなく木枠の作成にも高度な技術を要することから後継者が不足しており、技術の伝承が危ぶまれている地域もあります。また、原材料となる高品質の楮も減ってきていることも大きな問題になっています。

ユネスコ無形文化遺産への登録を機に、我々表具師も、手漉き和紙の普及に努め、世界に誇れるこの品質と技術を伝えて行かなければならないと思います。

張替えにかかるお値段は決してお安いものではありませんが、もし破ってしまうリスクがないのであれば、耐久性も高く張替え周期も長いので、意外とお得なのも事実です。
一度、紙見本を手に取って、機械漉の障子紙との違いを実感してみてください。

機械漉き和紙【きかいすきわし】

楮障子紙【こうぞしょうじがみ】

原材料の楮を60%以上含み、天然繊維のマニラ麻とパルプを加えて漉いた機械漉き障子紙で、技術の進歩により手漉きに近い風合いに仕上がった「本物の紙」と呼べる最高級品です。

手漉きの「楮入り和紙」よりも楮の含有比率が高く、強度もあるので、張替え周期は5年が目安です。

強力障子紙【きょうりょくしょうじがみ】

一般に「破れにくい障子紙」と呼ばれているものの内で、樹脂シートやプラスチックを使った強化和紙ではなく、長繊維の化学繊維植物系再生繊維を主原料にした機械漉きの障子紙です。

製法は他の機械漉きの障子紙と同じですから通気性もあり、吸湿発散によるフィルター効果も高いです。ただし、主原料に含まれる化学繊維は静電気が起きやすく、特に開け閉めの多い場所では早く黒くなりやすいという弱点があります。

強度があって破れにくいので、ついつい張替え時期を逃してしまいがちですが、汚れるとフィルター効果が弱くなりますので、破れていなくてもできれば毎年、長くても3年周期での張替がお勧めです。

樹脂シートやプラスチックを紙の繊維でコーティングしたものや、極薄の紙を樹脂シートで挟んだ強化和紙は「本物の紙」とは違い呼吸しません
もちろん、お客様からの御注文があれば商品説明を行い御納得いただいた上で施工いたしますが、当店では基本的に強化和紙ではなく強力障子紙をお勧めしています。

混抄障子紙【こんしょうしょうじがみ】

主原料は短繊維のパルプですが、天然繊維の楮とマニラ麻を20%程度含み、光沢や強度が楮に似た植物系再生繊維のレーヨン(人絹)、化学繊維のナイロンなどを長繊維原料として30%程度含んだ機械漉きの障子紙です。

もちろん手漉きには及びませんが、紙も厚手で風合いも良く、天然素材が70%程度含まれるので紫外線による劣化速度も遅いです。ただ、化繊含有率が楮障子紙に比べて高い分、静電気でホコリを吸って汚れやすくなり、汚れると劣化速度が速くなります。また、汚れるとフィルター効果も薄れますから、張替え周期の目安は2~3年がお勧めです。

レーヨン障子紙【れーよんしょうじがみ】

植物系再生繊維ではありますが、光沢や強度が楮に似た長繊維のレーヨン(人絹)を40%以上含む実用的な機械漉きの障子紙です。

主原料は短繊維のパルプですが、適度な厚みがあり、吸湿発散による伸縮が少ないのが特徴で、フィルター効果も高レベルで維持します。

ただし、天然素材100%ではありませんので、開け閉めによる静電気が起きやすい場所ではホコリを吸って汚れやすくなります。汚れるとフィルター効果も薄れますから、張替え周期の目安は1~2年がお勧めです。

麻入り障子紙【あさいりしょうじがみ】

混抄障子紙の一種ですが、楮を使用していない機械漉きの普及紙です。主原料は短繊維のパルプで、長繊維のマニラ麻を20%程度含み、植物系再生繊維のレーヨン、化学繊維のナイロンなどを30%程度含んでいます。

混抄障子紙と同様に厚手で風合いも良く、紫外線による劣化速度も遅いですが、楮を含まない分、強度は若干劣ります。また、化繊含有率が高いので、静電気でホコリを吸って汚れやすくなり、汚れると劣化速度が速くなります。また、汚れるとフィルター効果も薄れますから、張替え周期の目安は1~2年がお勧めです。

当店で取り扱っている最も安価な障子紙です。

パルプ障子紙【ぱるぷしょうじがみ】

パルプを80%以上含む機械漉の量産紙です。繊維が短く、紫外線による劣化速度も速いので、薄手のものは1年程度で吸湿発散による紙の伸縮にも耐えられなくなります。

環境によっては1年も経たないうちに破れやすくなってしまいますので、基本的には、毎年の張替が前提の紙です。

ホームセンターや激安店などで安価に流通している障子紙で、当店ではこのクラスの障子紙の取り扱いはございません。
(このクラスの紙を普通紙として扱っているところもありますのでご注意ください)

「和紙」の定義を「(こうぞ)」「三椏(みつまた)」「雁皮(がんぴ)」「梶の木(かじのき)」などの原材料や、「流し漉き(ながしずき)」という手漉きの伝統製法に限定した場合、パルプや化学繊維を主原料にして、「洋紙」と同様に抄紙機(しょうしき)で漉いた(抄いた)機械漉きの障子紙は、厳密に言うと「和紙」ではなく「洋紙」に含まれます。

しかし、永年に亘る抄紙技術と材料の改善により、和紙(手漉き障子紙)に近い風合いや強度を持つ紙も出てきました。ただ、その紙を活かすも殺すも張り手である表具師の腕次第です。紙の癖を知り、適材適所で使い分けるようお客様にアドバイスさせていただくのも、私たち表具師の使命だと私は考えています。